指定校推薦で不合格になることはある?元教員によが本音で解説

はじめまして。元高校教員で現在は大学関係者の「まりも」といいます!
結論から言うと、「数は少ないですが落ちる人もいます」。
指定校推薦と聞くと「ほぼ確実に合格できる」というイメージを持たれる方が多いと思います。しかし実際には、合格が保証されているわけではありません。
この記事では、指定校推薦の仕組みから、実際に落ちるケースまでをわかりやすく解説します。
1. 指定校推薦とは
指定校推薦とは、私立大学が特定の高校に「推薦枠」を与える入試制度のことです。
高校と大学のあいだには長年の付き合いがあり、その信頼関係のうえに成り立つ制度です。
勘違いされがちですが、「高校の偏差値が高い=有名大学の指定校枠がある」というわけではありません。
実際には、過去にその高校から進学した実績や、大学との連携体制など、総合的に判断されています。
また、指定校推薦の枠数は通常毎年見直されます。
推薦枠が増えることもあれば、反対に減ることや、場合によっては指定校自体から外れるケースもあります。
推薦の仕組みとしては、高校側が学業成績や生活態度などをもとに、
「生徒が大学に推薦できる人物に値する」と判断したうえで、校長の推薦を必須として、大学に推薦書を提出することになっています。

ぼくだったら、間違いなく推薦されるけどね!

……
そのためには、校内で行われる推薦会議で承認される必要があります。ここでの選考が、いわば学内での入試と捉えることもできます。
一般入試よりも早く合格が決まり、学力試験を問われることが少ないため、精神的な負担も軽く、受験生にとってありがたい制度となっています。
ただし、注意すべき点もあります。
指定校推薦は「専願制」であり、合格すればその大学に必ず進学することが前提となります。

出願自体で他大学の入試を一切受けることはできません
一度推薦を受けたら、途中で「やっぱり別の大学を受けたい」と変更することはできません。そのため、指定校推薦を希望する際は、大学や学部をしっかり調べ、本当に行きたい進路かどうかを確認することが大切です。
2. 指定校推薦の流れ
指定校推薦は、だいたい次のようなスケジュールで進みます。
高校や大学によって多少の前後はありますが、おおまかな流れを把握しておくと安心です。
【6〜7月】大学からの通知・校内発表
6月ごろになると、各大学から高校に「指定校推薦枠に関する文書」が届きます。
そして7月前後に、校内で指定校枠一覧が発表されます。
この一覧で、自分が希望する大学・学部・学科があるかを確認し、
同時に「評定平均」「欠席日数」「募集人数」などの出願条件もチェックします。
【夏休み〜8月】進路面談と申込書提出
夏休み中の三者面談で、担任の先生から「指定校推薦を希望するかどうか」を相談します。
ここで、出願条件や本人の意志や学力などをふまえて、受験方針を話し合います。
夏休み明けには「指定校推薦申込書」を提出し、正式な希望を学校に伝えます。
【9月】推薦会議での校内選考
9月ごろに、学校内で「推薦会議」が開かれます。
この会議では、誰を大学に推薦するかを慎重に決定します。
会議の具体的な進め方は学校ごとに異なりますが、一般的には以下の観点で審査されます。
- 学校として推薦できるかどうか
欠席日数や問題行動の有無など、学校長の推薦基準に適しているかを確認します。 - 大学が定める条件を満たしているか
評定平均や特定教科の成績、欠席日数など、大学ごとの基準をチェックします。評定平均は高校1年生〜3年生の1学期までの成績で計算されます。 - 定員を超えた場合の選考
募集人数を超える希望者が出た場合は、評定平均・実績・日頃の態度などを総合的に判断し、会議で推薦者を決定します。
やはり、評定平均が高い生徒ほど有利になる傾向があります。
会議の結果は、後日本人に伝えられます。
もし残念ながら落選した場合でも、他の大学に空き枠があれば、再度申し込みが可能なこともあります。
その際は改めて申込書を提出し、次回の会議で再検討されます。
【10〜11月】出願・試験・合格発表
推薦が決まると、学校から入試要項が配布されます。
試験内容や出願書類、志望理由書の提出方法などは大学によって異なります。
担任の先生が推薦書を作成し、生徒は志望理由書や面接練習に取り組みます。

推薦書は分量が多く、かなり大変…
保護者の方は、願書の準備や必要書類のチェックなどのサポートを忘れずにしてください。特に期日はしっかりと意識しましょう。
そして10月〜11月に入試が行われ、合格発表は11月下旬〜12月ごろが一般的です。
【注意点】辞退・合格取り消しに要注意
指定校推薦は一度申し込みをしたら、途中で辞退することはできません。
また、合格後に気が緩み、遅刻・無断欠席・問題行動などを起こした場合、合格が取り消されるケースも実際にあります。
推薦合格が決まった後も、羽目を外さず学校生活を送りましょう。
3. 指定校推薦で落ちるって本当?
多くの場合は合格しますが、「100%受かる」わけではありません。
実際に、大学側で不合格とされるケースも存在します。その主な理由をいくつか挙げます。
- 明らかに準備不足・やる気が見えない・態度が悪い
面接練習をしても受け答えがあいまい、志望理由が浅いなどの場合、大学側が「この学生は本気ではない」と判断することがあります。 - 志望理由書の分量を満たさない
これが原因で不合格になった過去の事例があります。 - 過去の卒業生が問題を起こした大学の場合
過去にその高校から推薦された学生がすぐ退学した、トラブルを起こしたなどの経緯があると、大学側が「慎重に選考する」傾向になります。
三者面談の際に過去にそのようなことがあったか、聞くことをおすすめします。 - 大学の方針として一定数を落とすケースも
特に人気の大学・学部では、推薦枠があっても全員を合格させない方針をとる場合があります。こちらも三者面談等で過去に不合格となった事例がないか聞くといいでしょう。
4. まとめ
指定校推薦は、高校と大学の信頼関係のうえで成り立つ制度です。
確かにほとんど合格しますが、「絶対に受かる」とは限りません。
推薦を受ける生徒には、
- 誠実な態度で学校生活を送ること
- 志望理由書や面接で自分の意志をしっかり伝えること
- 合格後も気を抜かず、最後まで責任をもって行動すること
この3点が求められます。
保護者の方は「推薦だから安心」とお子さんを油断させず、綿密に準備のうえで受験しましょう。


