総合型選抜と公募推薦はここが違う!保護者が知るべき私立大学受験の基礎知識

はじめまして。元高校教員で現在は大学関係者の「まりも」といいます!
大学入試制度は年々多様化し、ますます複雑になっています。
元教員として保護者の方から特によくいただいた質問が、「総合型選抜と公募推薦の違いがよくわかりません」というものでした。
いずれも年内に行われる入試ではありますが、実際には仕組みも狙いも大きく異なります。
この記事では、私立大学のケースを中心に、元教員だからこそお伝えできるぶっちゃけた部分を交えながら、両者の違いをわかりやすく解説いたします。
総合型選抜とは
総合型選抜は、かつて「AO入試」と呼ばれていた方式です。
大きな特徴のひとつは、学校長の推薦が不要 である点です。
公募推薦と違い、担任の先生に推薦書を書いてもらう必要がありません。
そのため、教員の立場からすると、学校推薦型選抜よりも総合型選抜のほうが業務負担が軽く、正直なところありがたいと感じる場面もあります。

もちろん手を抜いたことはありません!
多くの大学では 専願(合格したら必ず入学すること) であり、明確な入学意思が必要になります。
また、選抜では大学が掲げる アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に合致しているかどうか を多面的に評価します。
総合型選抜では、以下のような多様な方法で受験生の意欲や適性が判断されます。
- 志望理由書
- 自己PR
- 面接
- 小論文
- プレゼンテーション
- 課題提出
近年は、学生募集に苦戦している大学も少なくありません。
そのような大学では、公募推薦よりも総合型選抜に力を入れる傾向があります。
理由として、公募推薦は学校長の推薦が必要になるため、欠席日数が多かったり、評定平均が基準に届かないといった生徒は出願ができません。
一方で総合型選抜はこうした制限が少なく、幅広い受験生を受け入れやすいため、大学としては実施しやすい制度なのです。
公募推薦とは
公募推薦は、学校長の推薦が必須となる入試方式です。
そのため、まずは各大学が定める出願条件を満たしている必要があります。
生徒はまず学校に推薦願を提出し、校内の会議で承認されると、担任の先生が推薦書を作成します。
その後、学校を通して大学に出願するという流れになります。
出願条件としては、評定平均○.○以上 といった基準が設けられることが一般的です。
私立大学では 3.5以上がひとつの目安で、国公立大学や難関私立大学では 4.0以上 と、より高い評定を求められるケースも多くなっています。

僕の評定平均は10だよ。すごいでしょ

最大は5.0なんだけどなぁ…
また、公募推薦も総合型選抜と同様、多くの大学が 専願(合格したら必ず入学) を採用しています。
選抜方法としては、主に次の3つが用いられます。
- 小論文
- 面接
- 書類審査
一部の大学では共通テストの点数を合否判定に利用するところもあり、この場合は合格発表が共通テスト後になる点に注意が必要です。
関東と関西の違いについて
実は、関東と関西では公募推薦の文化がやや異なると感じています。
関西は特に公募推薦の枠が多く、大学側も積極的に実施している印象があります。
あくまで私個人の経験に基づく主観ではありますが、
関西の高校は「推薦を出しやすい」傾向があるように感じます。
関東の高校では推薦を出さないようなケースでも、関西では推薦するという状況が見られるという話を耳にすることもありました。
どこまでデータ的に正しいかはわかりませんが、肌感覚では明らかに差があるように思います。
一般選抜と年内入試を両方チャレンジするかどうか
結論から申し上げますと、年内入試と一般選抜の両方にチャレンジすべきです。
以前は、一般入試の比重が非常に大きく、総合型選抜や公募推薦といった年内入試は「おまけ」のような扱いでした。
そのため、面接が得意な一部の生徒を除き、多くの受験生は小論文対策や面接練習に時間を取られることで一般入試対策の勉強時間が不足し、結果として「一般受験に専念する」という選択をとるケースが多かったのです。
しかし現在では、私立大学(難関大学や国公立大学を除く)において、年内入試と一般入試の比率がほぼ五分五分になりつつあります。
そのため、たとえば「面接が極端に苦手で、お子さん自身が強い抵抗感を示している」といったよほどの事情がない場合を除いて年内入試にも積極的にチャレンジすることをおすすめいたします。

年内入試に関しては、高校1年生のうちから準備しておくのが理想だよ!
4. まとめ
受験制度はここ数年で大きく変化し、かつて主流だった一般入試一本の戦略が、必ずしも最適とは言えなくなってきております。
特に私立大学では、年内入試が一般入試と同じくらい重要な位置付けとなっており、受験生にとっては大きなチャンスとなっております。
大切なのは、お子さんの得意・不得意や性格、学校・塾などのサポート体制を踏まえたうえで最適な受験計画を立てることです。
受験は長期戦だからこそ、早めの情報収集と戦略的な準備が鍵になります。
今回の内容が、志望校合格に向けた進路選択の一助となれば幸いです。


